アトシラ

あとで調べようと思ったモノ・コトを忘れずに調べました

ZOZOSUITの採寸は精緻ではない!オーダーメイドにおいては致命的な誤差

“ 着用すれば瞬時に採寸できるセンサー式から、自分の姿をスマホで撮影して採寸する
マーカー方式へ変更となった「ZOZOSUIT」。果たして精緻な計測が求められるスーツやパンツをオーダーメイドできるだけの採寸精度なのか検証してみました ”

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ご機嫌いかがでしょうか?きんぐ(@king_letter)です。

ネットで服を買う時に困るのがサイズのミスマッチ。実店舗と違って試着ができないため、ネットで服を買うことに抵抗を感じる方は多いと思います。このようなサイズのミスマッチを解消するために開発された画期的な商品が「ZOZOSUIT」です。

僕も「ZOZOSUIT」が発表されてすぐに注文したのですが、納期は遅れに遅れ、2018年7月初旬にやっと手元に届きました。

ということで、今回は「ZOZOSUIT」のアトシラになります。果たして、スーツやパンツといった精緻の計測を求められるものも、オーダーメイドできるだけの採寸精度なのか検証してみました。

センサー式からマーカー式への改悪!?

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出典:株式会社スタートトゥデイ | START TODAY CO., LTD.

「ZOZOSUIT」はZOZOTOWNを展開する株式会社スタートトゥデイ(2018年10月1日より株式会社ZOZOに社名変更予定)が開発した、着用することで全身の寸法を瞬時に計測する採寸用ボディスーツになります。

着用するだけで計測できる未来的なスーツが無料で手に入ることに加え、『GANTZ』をイメージさせるデザインやビジネスモデルも話題になり、あっという間に注文が殺到しました。

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出典:ホリエモンドットコム|堀江貴文

その結果、供給が追いつかず、大幅に納期が遅れたうえ、まさかの大幅な仕様変更もなされました。「ZOZOSUIT」を着用すれば瞬時に採寸できるセンサー式から、「ZOZOSUIT」を着用した自分の姿をスマホで360°撮影するマーカー式に変更となり、実質、ダウングレードする形に。

さらに、レモンスカッシュのような水玉模様のデザインが追い討ちをかけてしまい、期待していた生活者からはネガティブな意見が多く発せられました。

仕様変更により大量生産が可能になったかもしれませんが、センサー式の「ZOZOSUIT」が欲しかった生活者には、大きく期待を裏切る形となりました。

ただの水玉模様の全身タイツ

7月初旬、僕のところにもやっと「ZOZOSUIT」が届きました。一足先に届いていたYouTuberのレビューで、写真撮影による採寸がめどくさいということを幾度と見かけていたため、少し寝かせてしまいましたが、ちょうどオーダーメイドのオックスフォードシャツが欲しかったこともあり、実際に採寸してみました。

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「ZOZOSUIT」は配送料を抑えるためか、圧縮されてコンパクトにされていました。中には遅延のお詫びと仕様変更が書かれた紙が同封されていました。言葉の綾かもしれませんが、「技術的な改良を施した結果、ZOZOSUITはセンサー方式からマーカー方式へと進化しました。」という言い回しはいかがなものかと思います。

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マーカー方式の「ZOZOSUIT」はセンサーが内蔵されているわけではないため、ただの水玉模様の全身タイツになります。白の水玉の中には小さな黒いドットが複数あります。計測用ということもあり、パツパツなサイズ感であるため、着る時にはやや苦労します。

「ZOZOSUIT」には前後があり、逆に着用するとマーカーが正しく検出できず、計測エラーになるようです。トップスはロゴが背中側に、ボトムスはタグが後ろ側になっているのが正しい着方になります。

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計測にはZOZOのアプリをスマホにダウンロードする必要があります。「ZOZOSUIT」は着心地がよいものではないため、着用する前に予めダウンロードしておくことをオススメします。

ファッション通販 ZOZOTOWN
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開発元:START TODAY CO.,LTD.
無料
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 360°撮影による採寸はめんどくさい

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何かの手違いか、撮影するためのスマホスタンドが同梱されていませんでした。仕方なく、自前のゴリラポッドに装着し、計測を始めることにしました。

スマホを設置するテーブルの高さは約70cmが理想となっています。一般的なデスクやテーブルは70cm程度の高さであるため、設置場所に苦労することは少ないと思います。むしろ、スマホから2m程度の距離をとれるスペースを見つけ出すことのほうが大変です。

スマホははテーブルの端から約20cm以内に設置します。テーブルの端から遠すぎると、テーブルが映りこんでしまい、足元のマーカーが読み取れないため注意が必要です。

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音声ガイドに従い、立ち位置を調整していきます。スマホから2m程度離れて構えていると、「もう少し前に出てください」と指示されました。

「もう少し前に出てください」

半歩前へ移動。

「もう少し前に出てください」

半歩前へ移動。

結局1mくらいの距離になったところで、位置が確認できないと言われてしまい、最初からやりなおしに。。。

計測を失敗するケースは多々あるようで、予め計測のコツをネットで調べていたのですが、残念ながら僕もスムーズに進みませんでした。スマホの背面カメラで撮影するため、どのように映っているのか自分では確認できず、対応方法がわからない点は煩わしく感じます。

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まず、スマホはiPhone8 plusのため、カメラの性能面に問題はなさそうです。また、背景に鏡や窓ガラスはないため、背景が何か悪さをしていることもなさそうです。

部屋が暗いと認識しづらいということでしたので、照明を明るくしていたのですが、どうやら明るすぎてもダメなようなので、照明を調整して再度チャレンジします。

予め2m程度離れているにも関わらず、相変わらずカメラに近づけと指示されます。ただ、明るさの調整がうまくいったのか、なんとか認識されました。スマホまでの距離は1m程度ですw

 

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さて、いよいよ撮影による計測が始まります。正面が12時の方向となり、1時、2時、3時・・・と時計回りに身体の向きを変えて撮影していきます。計12回撮影するのですが、これが結構ストレスに感じます。

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さらに撮影を終えた後にエラーが発生したり、アプリが落ちることもあり、その場合はまたイチからやり直しになります。

幸いにも一発で計測が終えることができ、ほっと胸をなでおろしました。計測結果はアプリ上に表示されます。

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出典:http://zozo.jp/zozosuit/

3Dデータによりシルエットも表示してくれます。また、同じ身長・体重の平均データと比較もできるようですが、僕の分類のデータはまだ十分に集まっていないようで、表示されませんでした。

「ZOZOSUIT」は何度でも測定可能であるため、ダイエットのチェックといった使い道もありそうです。

採寸が精緻ではない

やはり気になるのはその測定精度になります。特にオーダーメイドのスーツやパンツは、どれだけ精緻に計測できているかが肝であり、差異があるとオーダーメイドの価値が無くなるどころか、着用すらできなくなる可能性があります。

実際にメジャーで測定し、「ZOZOSUIT」の測定結果とどの程度の差異があるのか検証してみました。

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測定箇所によってはmm単位の差異しかなく、ほぼ誤差と呼べるくらいの精度になります。一方で1cmを超える差異の箇所もいくつかありました。

最も差異が大きかったのがウエストです。測るポイントによって数値が異なることも踏まえ、複数箇所を測定してみましたが、腰骨上は3cm程の誤差があり、パンツを買う際は不安を感じてしまいます。

実際に、「ZOZOSUIT」の測定結果から推奨されるパンツのサイズと、日常ではいているパンツのサイズとを比較してみました。

まず、ウエストはZOZOのほうが2~3cm大きく、総丈は2~3cm短かいです。ヒップは差異がありませんでした。

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パンツは腰のどの位置ではくかによってウエストのサイズも丈の長さも変わってくるため、「ZOZOSUIT」の測定結果でオーダーメイド商品を購入するにはハードルが高いです。

パンツはウエスト・ヒップ・総丈をカスタマイズすることができるものの、あくまで自分の好みで調整する機能であり、ベースとなる数値に不安がある以上、カスタマイズのしようがありません。

Tシャツならともかく、スーツ、ワイシャツとなると1〜2㎝の差異が致命的となります。残念ながら、ZOZOでオーダーメイドのスーツ、ワイシャツ、パンツを購入するには、時期尚早に感じてしまいます。

計測の負荷も踏まえ、もう一段進化するための技術的なブレイクスルーを期待したいです。

 

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オーダーメイド商品はまだまだ少ない

ZOZOのオーダーメイド商品はまだ決して品数が多いわけではありません。2018年7月時点で販売されているのは、スーツ、ドレスシャツ、オックスフォードシャツ、デニムパンツ、Tシャツになります。

正直、Tシャツのサイズ感に苦労したことはないため、オーダーメイドのTシャツにさほど魅力は感じませんが、価格が1,200円と安いため、お試しで購入しやすい商品になります。

ほしかったオックスフォードシャツは、前述したとおり、「ZOZOSUIT」の測定結果に不安があったことと、実際に購入した方々からワンサイズ大きいという口コミも多く見かけたため、自身で測定した結果を踏まえ、部分的にサイズをカスタマイズして購入してみました。

ただ、発送まで14~28日とそれなりに時間はかかるようですので、答え合わせはしばらく先になりそうです。

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結局のところ、メジャーで測定するのであれば、「ZOZOSUIT」は必要無かったというオチになりますが、むしろ撮影による計測の煩わしさと、計測の精度を踏まえると、実店舗でスタイリストに採寸を測ってもらい、そのデータをZOZOに管理してもらうほうが利便性が高いと思いました。

サイズ感がわからないが故にネットで服を購入することを控えていた方々も、「ZOZOSUIT」の誕生により、その障壁は低くなり、買いやすくなりつつあります。

いずれユニクロといった競合他社も近しいことをし始めることは間違いないため、自身の採寸データをどの店で使うのか選択できる仕組みのほうが、生活者にとっては有益であると思います。

注文したオックスフォードシャツが届いたら、どの程度FITしているのかレビューしたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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